「音楽の友」 2006年1月号
             取材・文=那須田 務
             写真=藤本 史昭


2006年1月21日 トッパンホール主催の 「鈴木秀美&平井千絵デュオ・コンサート」 出演に先立ち、
【音楽の友1月号】の 〈 PEOPLE 〜 interview & talks 〜 〉 へ掲載された インタビュー記事です。
 なお、執筆者の敬称などは省略させていただきます。ご了承下さい。


平井千絵
         フォルテピアノ   fortepiano
初期ロマン派の作品を集めて
名手鈴木秀美とデュオ・コンサートを開く

 チェロの鈴木秀美が年明け早々の1月21日に、トッパンホールでデュオ・コンサートをする。メンデルスゾーンとシューベルトの、チェロとピアノのための初期ロマン派のプログラム。そこでフォルテピアノを演奏するのが、オランダ、デン・ハーグ在住の気鋭の若手、平井千絵である。桐朋学園でピアノを専攻、在学中に鈴木秀美と故小島芳子の演奏に触れてフォルテピアノの魅力に開眼。その後、シュタイヤーの初来日公演を聴いてこの楽器を弾こうと決意し、卒業後に小島から手ほどきを受けてハーグ音楽院へ。

 「本当はとても迷っていたんですよ。でも小島先生や秀美さん、有田正広さんが後押ししてくださった。」

 同音楽院ではホッホランドに師事し、優秀な成績で卒業、さらにアムステルダムでチェンバロの研鑽を積んだ。ブルージュ国際古楽コンクール・フォルテピアノ部門第3位。同世代の仲間と結成した、フォルテピアノと管楽器による五重奏団 「ハルシオン」 が、ベルギーの国際コンクールに優勝するなど注目を浴び、ヨーロッパを中心にソリスト、室内楽奏者として活躍している。

 目下、オランダにトゥインマン作のワルター・モデルと、プレイエルのオリジナル(1840年)、日本にローゼンベルガー(1825年頃) を所有する。平井は 「フォルテピアノの醍醐味はほかの楽器との音色の理想的なブレンド。だからアンサンブルが楽しい」 と語る。ソロではモーツァルト・イヤーにリンツのオルフェオ・バロック・オーケストラと、ヴォルフガングとフランツ・クサヴァーのモーツァルト親子の協奏曲を共演する予定。

 今回の共演者鈴木秀美については、「秀美さんは、私が弾いていると、チェロでそっと掬い上げてくれるようなときがある。テンポや音楽的な対話を含めたインターアクションがほかの方と全然違う」 と嬉しそう。当日使用する2台の楽器のうちの1台は愛器ローゼンベルガー。

 「シューベルトにとても合うと思います。それにいい楽器って弾き手にいろいろ示唆してくれる。トッパンホールはフォルテピアノにとても合っていると思います。自分の放った音が不必要に跳ね返ってこないで、ホールにすっと吸い込まれる感じ」

 そんな平井と名手鈴木秀美が、初期ロマンティックなプログラムでどんな演奏を聴かせてくれるか、とても楽しみだ。

このページの先頭へ